日本刀は平安時代中期頃に誕生し、現在に至るまでの約一千年のあいだ大切に受け継がれてきました。これは日本刀の持つ美しさが古来、人々を引き付けてきたからに他なりません。南北朝期の「婆裟羅(ばさら)」や室町後期から江戸初期にかけての「傾奇者(かぶきもの)」といった武士の気風と美意識は、文化・芸術に大きな影響をもたらしました。日本刀も例外ではなく、反りや刃文には実用性の追求から生まれた洗練美を宿しています。一方、刀剣を用いるうえで必要不可欠な刀装は、武士のファッションとして精緻な細工の金具や螺鈿、蒔絵など、高い工芸技術を発揮した華麗な作品が多く造られました。
このたび、収蔵作品から日本刀と刀装の優品を展示いたします。華麗かつ洗練された日本刀の美をお楽しみください。