今回、秋水美術館が所蔵する日本刀コレクションの中から、刀装が付属する作品を中心に刀身と拵、甲冑類を展示し、刀をめぐるダンディズムの世界をご紹介します。
元来武器としての役割を担った日本刀は、使用するものにとって安全でなければならないという前提に立ち、柄や鐔、鞘などの刀装が不可欠でした。すでに古墳時代には、装飾性を加味した刀装も多く見られるようになります。刀剣を美しく飾ることによって、権力者は周囲に自身の力を誇示したのです。刀装は、こうした権力と結びついて発展し、貴族や武士を中心に各時代の流行に則した形で様々な意匠が用いられました。
江戸時代には殺伐とした戦国乱世の気風から脱し、天下泰平となったことで、刀剣はより象徴としての意味合いが強くなるに伴い、装飾性に富んだものが多く作られます。刀装に携わる職人にも名工と呼ばれる者が現れ、刀身と同じく宝物として扱われたのです。しかし、明治となって廃刀令が布かれると、刀匠や金工など刀剣に携わってきた多くの職人が職を失うことになります。こうした職人の高い技術力を生かし、生き残りを賭けて生み出した美術品を基礎として、近代から現代にかけて独自の日本工芸が花開いたのです。
本展では、二階鑑賞室において、刀身とそれに附属する刀装及び刀装具を、また三階鑑賞室では甲冑や馬具などの武具を展示します。武士の表道具たる刀や拵、武具などに施された美しい意匠と技をご覧ください。
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1. 紋散らし桶側二枚胴具足 結城秀康所用/
2. 金梨子地葵紋散蒔絵鞘糸巻太刀拵(部分)/
3. 竹塗鞘打刀拵(部分)/
4. 蔓桔梗文金蒔絵研出鮫鞘柄合口短刀拵(部分)/
5.金梨子地梅樹図蒔絵刀掛(部分)/
6. 朱漆塗桜花文蒔絵散印籠刻鞘打刀拵(部分)/
7. 七宝紋鐔 無銘 平田道仁