日本からフランスに渡り、西洋画壇の絶賛を浴びたエコール・ド・パリを代表する画家、藤田嗣治(1886-1968)を紹介する企画展です。
近代ヨーロッパ美術の歴史において、最も成功した日本人芸術家の一人と謳われる藤田は、東京に生まれ、東京美術学校(現在の東京藝術大学)洋画を学んだ後、1913年26歳で単身フランスに渡ります。
パリの中心地モンパルナスに居を構えた藤田は、持ち前の飾らない人柄で瞬く間に人脈を広げ、モディリアーニ、レジェ、パスキンらの画家と知り合い、更にはマティス、ピカソと交流を深めています。斬新で極めて自由奔放な前衛美術に大きな衝撃を受けた藤田は、やがて「筆と墨」という日本画の技法を油彩画に取り入れ、「乳白色の肌」と呼ばれた独自の画風を確立してゆきます。
本展では、長らく未公開の代表作《公園の少女》をはじめとする絵画、挿絵本など計33作品に加え、交友関係を示すパブロ・ピカソの《泣く女》、モイズ・キスリングの《花瓶の花束》を特別展示し、藤田の足跡をより鮮明に辿ります。