江戸時代初期に当たる一六一〇年頃、肥前有田の地で陶石が発見され国内で始めて磁器が焼成されました。続いて一六四〇〜五〇年代には色絵技法が創始され、色絵磁器の生産も行われるようになったのです。
ちょうど時を同じくして、大聖寺藩の九谷村でも磁石が発見されたため、有田に技法を学び色絵磁器を生産したのが九谷焼の始まりと伝わっています。近代に入ると万国博覧会へも出品され、海外でも高い評価を得るようになり、欧米を中心とした諸外国に輸出されるようになりました。九谷焼は三五〇年余りの歴史ある焼物として、現代に至るまで盛んに製作され、その作風も青手・五彩手・赤絵など多彩な広がりと美しさを見せています。
今回、秋水美術館が所蔵する現代の九谷焼作品から厳選し、浅蔵五十吉や德田八十吉を始めとする匠の名品を展示いたします。加賀百万石が培った北陸を代表する磁器「九谷焼」、その継承された多彩な美の世界をご堪能ください。